19年が過ぎ [trip]
12月のある木曜日の午後、何とか仕事が一段落着いたのを感じて翌日の年休を入力した。
土日に東北地方の温泉に行くことになっていたので、休みが取れたらひとりで松島にでも行ってみようかと
以前から目論んでいたのだ。
翌朝、無理のない時間に起き、みどりの窓口で「一番早い『はやて』で仙台まで。」と言ってチケットを買った。
明日の待ち合わせ時間までの約24時間はひとり旅。
乗り物に乗っている間、時間を持て余す。きっと夜のホテルでも。
そう思って東京駅の書店で村上春樹の新刊『東京奇譚集』を購入。
でも、2時間もかからずに仙台に着き、松島の観光もつつがなく終え、
仙台のホテルに着いたときには、東京駅で買った本は残り数ページだった。
まだ夕方の5時。ひとりの夜は長い。
部屋に荷物を置いて、夕食に外へ出たついでに書店に寄って新しい文庫本を買った。
『ノルウェイの森』上下巻。
最近、今さらのように村上春樹に凝って片っ端から文庫を読んでいる。
さすがにこれは以前にハードカバーで読んだことがあった。
いつ読んだんだろう。きっと昭和の終わりか平成のはじめの頃。もう19年は経つ。
そういえば初めて仙台駅に降り立ったのも、同じ頃、1988年(昭和63年)9月…だったと思う。
あのときも東北新幹線を降りて(『はやて』はまだなくて『やまびこ』だったけど)
仙石線に乗って、松島の手前の多賀城で降りた。一応、仕事。
そしてその日も金曜日で、その足で土日は今回とは違う東北地方の温泉に行ったんだ。
『ノルウェイの森』は、そのとき一緒に温泉に行ったC子から借りた。
そんなことを思いつつ、ページをめくるが、本の内容は何一つ覚えていなかった。
かなり心を動かされたはずなのに。
「心を病むヒロイン」って、今は珍しくないけど、23歳の私の目にはどう写ったのか。
19年の時間は長い。
その間に私は何を得て、何を失ったんだろう。
『ノルウェイの森』を最初に読んだ頃に好きだった男の子は、
そのころ就職して仙台に住んでいた。だからその頃の私にとって、仙台は特別な場所だった。
その後、彼は『ノルウェイの森』の緑の両親と同じ病気を患って、東京に帰ってきた。
今はどうしているだろう。
そんなちょっぴりセンチメンタルな思いを抱え、翌朝、待ち合わせ場所へ向かった。
予定より早く到着していた待ち合わせの相手は、クリスマスツリーの前でケータイを片手に私を探していた。
19年後、私は2度読んだ『ノルウェイの森』の内容を忘れていても、
そんな些細なことを覚えているのかも知れない。
今年のクリスマスにサンタさんからもらったプレゼントは、羊の抱き枕。
読んだことのある人にはわかるだろうけど、つくづく村上春樹な年末でした。
皆さん、よいお年をお迎えくださいませ。
いつもと違う調子で書いたけど、元気ですよ。
羊の抱き枕のおかげで寝すぎてます。
仙台は生まれた県の近くだけどあまり行った事がないです。
昔文通していた男の子が仙台の大学に行ったので、私にとっても特別な場所ですね~。
待ち合わせのお相手が気になる書き方かも・・・。(笑)
確かにいつもと違う文体だと思いました。
良いお年を♪
by Cecilia (2007-12-30 21:55)
おひさしぶりです。
お元気そうでなによりです。
ここ10ねんはあっというまに年月が流れていったようにかんじます。
どうぞよいお年をおむかえください。
by 百合 (2007-12-31 09:54)
きまぐれ一人旅でしたか、一番贅沢なことです。
今年は色んな記事で楽しませていただきました。
来年も宜しくお願い致します。良いお年をお迎え下さいね。
by お散歩爺 (2007-12-31 17:10)
羊の枕ですか、いいですね。
もこもこ感のあるものと羊、好きなんです。
東京メトロのポスターの「迷える羊」も、もこもこしてていいんですよね(ご存知かしら?)。
良いお年を。
by きた みなみ (2007-12-31 19:52)
おひさですぅ〜♪ヽ(^o^)ノ
あけましておめでとうございますっ!
今年もどうぞよろしくお願いいたしますぅ〜♪(●^_^●)
by kone (2008-01-01 00:35)
一時期村上春樹が好きでした。
今年も充実した1年をお過ごし下さいね。
by chichiの母 (2008-01-01 08:59)
とっても遅くなりました。あけおめで〜す♪
今年もよろしくお願いします。
仙台に親戚あり。
お寿司(うふ、ごちね。)目当てにだけに行きます〜〜(笑)
by berry (2008-01-07 17:56)
今更ですが
明けましておめでとう御座います。
今年も宜しくお願いします。
恋愛小説のような文章でちょっと待ち合わせの方が気になってしまいました。
by サンラブ (2008-01-17 22:50)